【リハビリ】 横浜市立大学医学部 リハビリテーション科学教室 公式Webサイト

横浜市大医学部リハビリテーション科学教室では、診療・臨床研究・教育を行う他、リハビリ施設連携を図り、リハビリ医学の向上・地域医療拡充を目指します。


・ヨコハマ・ヒューマン&テクノランド2017のお知らせ

福祉のことがわかる総合イベント ヨコハマ・ヒューマン&テクノランド2017が、 7月28日(金)〜29日(土)パシフィコ横浜展示ホールDで開催されます。


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・疾患別 リハビリテーション概要
 ■ 脳卒中のリハビリテーション
 ■ 脊髄損傷のリハビリテーション
 ■ 関節リウマチのリハビリテーション
 ■ 骨関節疾患のリハビリテーション
 ■ 四肢切断のリハビリテーション
 ■ 外傷性脳損傷のリハビリテーション
 ■ 神経・筋疾患のリハビリテーション(パーキンソン病を中心に)
 ■ 小児のリハビリテーション(脳性麻痺を中心に)
 ■ 内部障害のリハビリテーション
 ■ 摂食・嚥下障害のリハビリテーション

患者さまならびにご家族等からの、病状などに関する「個別のご相談・お問い合わせ」には、申し訳御座いませんがお答え出来ません。予めご了承ください。


>> 脳卒中とその症状
 脳卒中とは脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など脳の血管が閉塞や出血することにより脳細胞に損傷をきたす病気の総称で脳血管障害ともよばれています。
脳卒中により脳に障害がおきると、片麻痺や失調症などの症状のほか、手足の感覚が鈍くなる、しびれるなどの感覚障害、言葉が出てこない、もしくは理解できないなどの失語症、食べ物をうまく食べることができない嚥下障害、視力・視野の障害がないのに麻痺側を見落としてしまう半側空間無視や道具がうまくつかえない失行などの高次脳機能障害といったさまざまな症状が、脳の障害された部位や病巣の大きさによって出現します。

>> 脳卒中の治療の流れ
【急性期】
 まず脳卒中のタイプを、診察、CTやMRIなどの画像、検査などで診断し、それから急性期の治療として薬物治療、手術療法がおこなわれます。このときは血圧や呼吸状態などが不安定なことが多く、ベッドで安静にして治療することが必要な場合もありますが、長期にわたりこのような状況が続くと関節拘縮や筋力低下といった、動かないことによる運動障害すなわち『廃用症候群』がおきるので、全身状態が安定すればすぐにベッドサイドからリハビリテーションを開始する必要があります。リハビリテーション科医師が診察し、全身状態なども考慮したうえで理学療法(PT)、作業療法(OT)、言語聴覚療法(ST)などを処方し、リハビリテーションが開始されます。
 脳卒中急性期には、まず廃用症候群の予防、そしてベッドからはなれて日常生活をおくれるようになること(離床)を主な目標として訓練をおこないます。急性期の内科的治療がおおむね終了し、全身状態に大きな問題がなく、車椅子に乗って十分な時間座っていられるようになれば場所を訓練室に移して本格的な訓練をおこないます。

【回復期から維持期】
 急性期の内科的治療が終了し、リハビリテーションが主となる時期は回復期と呼ばれていますが、現在の医療技術では急性期治療と急性期から回復期にかけてのリハビリテーションを十分におこなっても脳の損傷部位や大きさによっては機能障害が残ってしまう方もいらっしゃいます。そのためリハビリテーション科医を中心としてリハビリテーションの各職種がチームとなって、できるかぎり早く最大限の機能回復ができ、かつ障害が残存しても日常生活動作(歩行、食事、排泄、更衣、入浴など)がなるべく自立できるように、そしてもとの生活に復帰できるように訓練をすすめていきます。また運動や日常生活を阻害する障害に対して薬物療法や装具療法(図)を併用して最大限の効果をあげられるようにしています。
 自宅に退院したあとは残存した障害の状況に応じて、外来リハビリテーションを継続したり、介護保険制度の通所リハビリテーションに移行したりします。



>> 脊髄損傷とは
 脊髄損傷とは、脊髄に障害が加わり、四肢などに麻痺が生じることです。原因として、交通事故、起立・歩行時の転倒、スポーツなどの外傷性のものと、梗塞、炎症、腫瘍といった非外傷性のものがあります。日本の脊髄損傷は20歳代と60歳代の二つにピークを認め、欧米と比較した場合、高齢者に多いのが特徴です。

>> 障害の分類
 障害は大きく分けて、障害部位によるものと障害の程度によるものがあります。障害部位としては、首の部分の障害では四肢麻痺(上下肢麻痺)、胸以下の障害では対麻痺(両下肢麻痺)になります。障害の程度では完全麻痺と不全麻痺があります。完全麻痺では肛門皮膚・粘膜移行部の感覚と運動が消失しており、不全麻痺では残存しております。完全麻痺では機能改善は期待できませんが、不全麻痺では長期にわたって改善することがあります。さらに、随伴症や合併症として、褥瘡、排尿・排便障害、自律神経障害(起立性低血圧、体温調節障害など)、疼痛などを伴う場合があります。

>> リハビリテーションの流れ
 受傷直後より、リハ医の診察により、麻痺高位、完全、不全麻痺の診断、及びMRIなどによる画像診断を用いて早期に予後予測をたて、リハビリテーションを行っていきます。
急性期では合併症を予防しながら離床をはかります。四肢麻痺の場合、排痰が困難であるため、呼吸訓練を積極的に行っていきます。また、褥瘡予防のための頻回な体位変換、関節拘縮や深部静脈血栓症の予防のため早期から関節可動域訓練を行っていきます。
 急性期をすぎ全身状態が安定すると、状態に応じて、車椅子での乗り移りや車椅子での操作訓練、歩行器や杖を用いた歩行訓練を行っていきます。四肢麻痺では自助具を用いての食事、整容、更衣の訓練を行うことがあります。また、排尿、排便コントロール、褥瘡予防といった自己管理も身につけていただきます。
 退院後の生活では就労している人や、スポーツを行っている人もいます(図)。健康管理としては排尿、排便コントロール、褥瘡予防、さらにはメタボリック症候群といった生活習慣病の予防が必要になります。

>> 最近の話題
 最近では痙縮(筋肉のつっぱり)に対し、薬剤を直接髄腔内に注入する体内埋め込み式ポンプが健康保険で使えるようになりました。下肢の痙性がひどく日常生活に支障のある方に効果があります。まずはリハビリテーション科の外来にご相談ください。



 関節リウマチは原因不明ですが,多くの関節に炎症が起こり、関節が腫れて痛む病気です。30歳代から50歳代で発病する人が多く,女性に多く認められます。長期にわたって症状が進行すると多発性の関節炎から拘縮・変形など関節の機能障害を引き起こします。そして疼痛や機能障害のため運動量が減少し,廃用性の変化(筋力低下,耐久力の低下)が見られる場合があります。治療の三本柱は内科的治療,外科的治療,リハビリテーションといわれています。リハビリテーションの目標は機能訓練と生活指導を通して,“関節機能の維持”と“廃用症候群の予防”を図り,“生活の質(Quality of Life,QOL)を向上させる”ことです。

>> リハビリテーションアプローチ
 具体的アプローチには,理学療法と作業療法があります。理学療法の主な内容は@筋力トレーニング,A関節可動域訓練,B装具療法(足部変形に対する足底装具など)です。関節を保護するには,その周りの筋力を強化することが大切です。ただし運動負荷が過度な場合,関節の破壊を助長してしまう可能性があるので,状態により「安静」と「運動」を調節が必要です。作業療法訓練の内容として,@関節保護法指導(関節変形を助長させないための動作指導),A関節可動域訓練,B自助具(リーチャーなどの代償手段)の紹介,Cスプリント療法(疼痛軽減目的の手関節固定装具や手指変形に対する指輪型装具など)があります。

 自主トレーニング指導を含めた機能訓練,関節保護を考えた日常生活動作の指導,必要に応じて身体機能に合わせた住環境調整への助言などを行うことで, 関節リウマチの患者さんが,発症以前とは異なるかもしれませんが有意義なライフスタイルを構築し,QOLを向上できるようにアプローチしていくことが,リハビリテーションの最終目標と言えるでしょう。



 リハビリテーションの対象になる骨関節の疾患は、日常よく遭遇する肩や腰の痛み、交通事故、転倒などによる骨折やその後遺症、病気や加齢によって生じる関節の変形、先天性の骨格の異常など多岐にわたります。こうした骨関節疾患の場合、まずは整形外科を受診して、診断、治療を行った後にリハビリテーションが開始されます。骨関節疾患では、薬物療法(内服や外用、注射など)、手術療法と合わせてリハビリテーションをすすめる事が大切です。痛みや関節の機能の障害、筋力の低下、日常生活動作(ADL)の低下(生活のしづらさ)に対して、リハビリテーションを行う事でその症状を和らげ、失われた機能を維持・向上させる目的の他、こうした疾患によって生じる二次的な合併症の予防もリハビリテーションの目的の一つです。リハビリテーションでは、理学療法・物理療法(温熱や電気刺激など)、作業療法、装具療法、生活指導などの他、障害の状況によってはその状況に応じて生活環境の改善をめざした住宅の改装や福祉サービスの相談なども行います。

 以下にリハビリテーション科で治療を受けることが多い疾患の中から、大腿骨頸部骨折、変形性膝関節症について例を挙げてご説明いたします。

【大腿骨頸部骨折】
 高齢者の転倒などによって生じやすい骨折の一つです。かつては寝たきりの原因として大きな問題でしたが、現在では手術法の進歩により、受傷後早期に手術を行い、リハビリテーションを開始する事が可能となった結果、早期の社会復帰が可能となってきました。リハビリテーションとしては、下肢の筋力トレーニング、立位・加重、歩行や起居動作訓練を行います。 また特に歩行が不自由な高齢者の場合、在宅復帰後の転倒予防のための環境調整も重要です。

(大腿骨頸部骨折)


(大腿骨頸部骨折術後)
>> 変形性膝関節症
 膝のO脚変形などにより、軟骨や骨の摩耗が生じた結果、徐々に痛みを感じるようになり、関節の破壊が進行し、やがて歩行困難となってしまいます。リハビリテーションでは、関節に負担がかからないように考慮をした筋力強化訓練(等尺性収縮による筋力強化訓練)、鎮痛のための温熱療法、装具による関節保護などを行います。また病状が進行する以前から、予防治療としての筋力訓練、歩行姿勢改善、装具による関節保護も大切なリハビリテーションの一つです。ご自宅での自主トレーニングが安心して行えるように外来での運動療法指導なども積極的に行っています。



足が無かったら、手が無かったらと想像したことがありますか?
生まれつき手足が無かったり短かったりすることもありますし、病気や怪我で切断せざるを得ないこともあります。血行再建術や人工関節による四肢温存術など医療技術の進歩により四肢切断は確実に減少していますが、四肢切断術を余儀なくされる例も少なくありません。

四肢切断に至った場合、義肢を用いて機能の代償を図ります。義足の場合はリハビリテーション科医、義肢装具士、理学療法士が対応し、義手の場合は作業療法士が訓練を担当します。義肢の処方、訓練ともリハビリテーションの主要な分野です。
>> 切断の原因
 切断の原因として、以前は機械に巻き込まれての労働災害や悪性腫瘍を切除するための切断などが多かったですが、工場での安全対策の進歩、腫瘍に対する化学療法の進歩などで減少しています。最近では高齢化、糖尿病などの生活習慣病の増加により手足の循環障害が原因となる切断が多数を占めるようになっています。交通事故や地震などの自然災害による切断は大きく変わっていませんが、全体での割合はそれほど多くありません。

>> 切断から社会復帰まで
 切断の際には義足や義手の使用も考慮して、適切な長さ、よりよい形状や機能を得られるように手術が行われます。切断術というと後ろ向きの印象がありますが、切断後の義肢使用に大きく影響する機能再建のための手術です。
 術後はすぐに(早ければ翌日から)リハビリテーションを行います。切断していない部位の筋力の維持や切断した四肢の関節可動域の維持、傷の状態が良ければ断端の形を整えるためのマッサージや断端包帯など断端に対する治療も行います。感染や循環障害のリスクが無いときには手術室でギプスを巻き義足を付けて病室に戻り翌日から立位訓練を行うことも有ります。
 断端は術後の腫れが引き、使わなくなった筋肉は萎縮するなど、少しずつ小さくなり、形も整ってきます。頃合いを見計らい、断端と義肢をつなぐソケットの型取りをして義肢を処方します。型取りをし、義肢を作製するのが国家資格である義肢装具士の役割です。義足ならば歩行訓練、義手ならば把持などの動作訓練を行います。
義足には軽くて体重を支えることに機能を限ったものから、コンピューターを内蔵して義足の動きをコントロールするものまでいろいろあります。義手も装飾用の見かけ優先の義手からワイヤーで駆動する義手、残った断端の筋収縮を検知して電動で動く筋電義手などまであります。切断者の生活様式を考え、なるべく早く、必要な機能を得られる義肢を選択し、必要な訓練を行います。
 義足での歩行は普通の歩行よりもエネルギーが必要であり、心肺機能に対するリハビリテーションや非切断側の筋力強化、義肢の装着なども含めた日常生活動作訓練など総合的なリハビリテーションで対応します。また、四肢を失うということに対しての心理的な対応も重要になります。



>> 受傷のメカニズム
 交通事故、高所からの墜落などが主な原因です。
これらの事故により頭部に強い衝撃が加わると、脳の内部が傷ついたり、脳の周りや内部で出血を起こします。これを外傷性脳損傷といいます。
 出血による圧迫や脳の損傷によって、脳の機能が障害され、脳の腫れによる意識の障害、片側の麻痺、バランスの障害などの運動面の障害、高次脳機能障害がみられます。
障害の特徴

>> 障害の特徴
  同じ脳の疾患として脳卒中がありますが、外傷性脳損傷では脳卒中と比較して
@運動面の障害では片麻痺に加えて、失調症状というバランスの障害を合併しやすいこと、A運動面の障害に加えて、記憶の障害、認知面の障害、行動の障害、感情面の障害などの多彩な高次脳機能障害を合併しやすいこと、Bリハビリテーションにより日常生活動作は自立するものの、高次脳機能障害の残存により、復職や複学などの社会生活上に支障をきたすことが多いこと、C重度の症例では意識の障害が残存し、意思疎通ができない状況でベッド上の生活になること、などが挙げられます。

>> リハビリテーションの流れ
  外傷性脳損傷のリハビリテーションは、急性期と回復期以降にわかれます。急性期では意識の改善を促し、麻痺による筋緊張の亢進や筋肉を使わないことにより、関節の動きが悪くなること(廃用症候群)を防ぐために関節の運動や自発運動を促す訓練を行います。その後に安定して車いすに座れるための訓練を行い、その後は立ったり、歩いたりできるように訓練を進めます。また同時に食事、着替え、トイレ、入浴など身の回りの動作を自立させるための訓練を行います。意識障害や高次脳機能障害により訓練が進まないこともありますが、高次脳機能に関してはどこに問題があるのかを評価し、これに対して訓練を進めていきます。運動の障害や高次脳機能障害が重い方の場合は急性期以後にも入院での回復期のリハビリテーションが必要となるため、専門のリハビリテーションセンターなどに転院し、訓練を継続して在宅復帰を目指します。運動の障害や高次脳機能障害が軽い方で外来での継続訓練が必要な場合には主にリハビリテーション科の外来に通院し、社会復帰を目指します。リハビリテーション専門病院には医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士に加えて、臨床心理士、ソーシャルワーカー、体育指導員、生活指導員などの職種があり、総合的なリハビリテーションを行うことが可能です。
 高次脳機能障害が軽い場合は、その存在に気付かないまま急性期病院を退院することがあるので、周りの家族や本人自身が前とは何か違うと思った時には、リハビリテーション科の外来に相談することが大切です。

>> 高次脳機能障害
 高次脳機能障害のうち見当識障害は時間や場所がわからない症状です。記憶障害は新しいことを覚えられない(記銘力といいます)、以前のことを思い出せない(健忘といいます)などの症状です。注意障害は物事に集中できず注意がそれてしまう症状です。遂行機能障害は計画的な行動ができなくなる症状です。またすぐに怒り出してしまったり、人のことを気にせずに何でも話してしまったり、やる気が起きなかったり、食欲が異常に亢進したりという症状も多くみられます。



>> 神経・筋疾患とは
 脳や神経が原因になる疾患と筋肉自体が原因となる疾患を指します。代表的な疾患としてパーキンソン病、脊髄小脳変性症、多発神経炎、筋ジストロフィーなどがあります。軽度の症状から発症し、徐々に重症となることが多いのが、神経・筋疾患の特徴です。

>> パーキンソン病の症状
 パーキンソン病では、手足が思うように動かない、歩き方がぎこちない、転びやすくなった、大きな声が出にくくなった、などさまざまな症状が出ます。
 原因は、脳の中のドーパミンという物質が減少するために起こります。ドーパミンの減少により、脳からの指令がスムーズに行われず、筋肉などのこわばり、ふるえ、動作の緩慢さなどの状態が出現します。進行がゆっくりのため、動作が緩慢になったということに気づきにくく、しばしば転ぶなどある程度進行してから受診されることも少なくありません。

>> パーキンソン病でのリハビリテーション
 パーキンソン病の治療は、薬物療法が中心となりますが、歩行能力、バランス能力、体の柔軟性を維持・向上させるために、リハビリテーションが必要となります。
 具体的には、手足のリラックスがうまくいかなくなるため筋肉のストレッチ、筋力の低下に対して筋力増強訓練、バランスが不良になるためバランス訓練、歩行のスムースさを出すための歩行訓練、自宅で継続できるように自主トレーニング、また、ご家族へのアドバイスなどを行っていきます。
 薬物療法の効果を見ながら、進めていくために内科・神経内科の医師と連携をとりながらリハビリテーションを進めます。

>> その他の神経筋疾患
 疾患によりリハビリテーションの内容は異なりますが、難病に指定されているような進行性疾患では、リハビリテーションでの目覚しい回復は難しく、身体機能を悪化させないことを目標としたリハビリテーションを継続し、身体機能が低下しても生活を維持できるように必要な補助具(歩行器や車椅子、箸やスプーンの改良など)を検討します。また、身体障害者の診断を行い、必要な福祉制度を検討します。



小児のリハビリテーションは、運動発達の遅れや異常をもっているお子さん全てが対象です。原因は脳性麻痺、二分脊椎や染色体異常など様々です。

>> 脳性麻痺のリハビリテーション
【脳性麻痺とは】
 出生前から新生児までに生じた、非進行性の脳病変による運動機能障害のことを示す病名です。運動発達の遅れだけでなく、筋緊張の異常、病的反射など質の異常を伴います。原因は脳奇形や出生時仮死、呼吸障害、頭蓋内出血などさまざまです。多くは、運動障害だけでなく、知能障害やてんかん、視力障害など重複の障害を持っています。臨床的には運動発達の遅れや手足のつっぱりなどから脳性麻痺が疑われ、出産時の経過や画像所見などを含めて総合的に診断されます。

【脳性麻痺のリハビリテーション(療育)】
 お子さんの発達・成長に合わせて、リハビリテーションが行われます。
横浜・川崎市では、エリア毎に地域療育センターがあり、療育を行っています。
 乳幼児期では早期発見・早期訓練が大切なので、多くは診断がつく前から訓練(主に、理学療法)を開始します。作業療法や言語の訓練なども必要に応じて行います。幼児期には通園施設などを利用して、少人数のグループでの療育も行われます。学童期は多くの場合、外来での訓練を継続して行います。訓練の主な目的は機能維持と、成長に伴って生じてくる2次的な障害(側彎や拘縮)の予防です。また、福祉サービスや住環境整備などの利用の支援も行い、介護者の介助負担を減らすお手伝いもしています。

【そのほかの治療として】
@ 装具療法:変形予防や立位・歩行を目的とした装具(短下肢装具、靴型装具など)や、座位や移動のための座位保持装置・車いすの作製
A 痙縮に対する治療:薬物療法(抗痙縮薬)や神経ブロック、手術など
B 整形外科的な治療:痙縮の軽減、骨関節変形の予防・矯正を目的とした、軟部組織の解離術、骨きり術
などが行なわれます。



>> 内部障害とは
 身体障害者福祉法に定められた内部障害(内部機能障害)は、心臓機能障害、腎臓機能障害、呼吸機能障害、膀胱機能障害、直腸機能障害、小腸機能障害、およびヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害と規定されています。この他に肝障害、高血圧、糖尿病、悪性新生物などの内科疾患も障害を生じさせます。

>> リハビリテーションの目的
 内部障害をもたらす疾患に対する急性期の対応は、安静を保つことですが、あまり長期にわたって安静・臥床を保ちすぎると身体・精神機能に低下を生じ(廃用症候群)、心肺の残存機能の低下、筋力低下や筋萎縮などをきたしたり、精神的にうつ状態になったりするおそれが出てきます。これらの予防として運動療法を行うことの有効性が示されています。
また、肥満・糖尿病や高血圧、心筋梗塞などに対しては、治療を目的とした積極的な運動療法が行われています。呼吸器疾患では、呼吸筋の筋力強化、呼吸法訓練、呼吸・排痰介助手技などを実施することもあります。
 運動療法を行うことで、入院期間の短縮、円滑な社会復帰が図れ、最終的には疾患を有する方のQuality of Life(QOL:生活の質)の改善につながると考えられています。

>> 運動処方・リハビリテーション効果の指標
 運動処方は、どんな運動をどのくらいの時間、頻度で行うかを適宜設定することが必要です。内科疾患では通常、歩行や軽いジョギング、自転車エルゴメーターや水泳などが行われます。運動強度を示す指標は多数ありますが、代表的なものとしてMET(s)と心拍数があります。

@MET(s)(metabolic equivalent(s)):安静座位時の酸素消費量で運動時の酸素消費量を割った数値のことです。安静座位時のMETが1であり、その何倍の運動強度かが示されます。種々の活動時のMETs換算表があります(表)。

A心拍数:心拍数は心拍出量を反映し、運動強度と相関が高いことが分かっており、測定も簡単なためこれを基にした運動処方がしばしば用いられています。運動時の最大心拍数([220−年齢]を参考値とできる)と安静時心拍数との差が心拍数較差であり、運動強度のパーセントは心拍数較差のパーセントに相当しています。
こうした指標などにより、適切な医学的評価を行ったうえで内部障害のリハビリテーションの処方がなされています。誤った運動負荷は効果をもたらすどころか、逆に疾患を悪化させることにもつながりますので、注意が必要です。

>> 表:日常の活動とMETs値
活動の種類 METs値
身の回りの活動 椅子に座っている 1.0
衣服の着脱 2.0
家庭での活動 掃除(立位) 2.5
床磨き 3.0
洗濯物干し 3.5
職業としての活動 書きもの 1.5
車の運転 1.5
パソコン作業 2.0
楽器演奏 2.0
土木工事 7.0
運動 ゆっくり歩く 2.5
ゆっくりサイクリング 3.5
速く歩く 4.5
ジョギング 7.5
速いサイクリング 9.0
ランニング 15.0
レクリエーション活動 絵を描く 1.5
ボーリング 3.5
ゴルフ 4.0
テニス 6.0
スキー 8.0
バスケットボール 9.0



>> 摂食・嚥下障害とは
 摂食・嚥下障害とは、食べる機能の障害です。その原因には、脳卒中、パーキンソン病、口腔、咽頭、喉頭、食道の疾患、加齢などがあります。食べることが上手にできないと、脱水、栄養失調、誤嚥性肺炎、窒息などの合併症を起こします。また、食べる楽しみは生きがいの1つですので、食べられないことでQOL(生活・人生の質)が大きく低下します。

>> 摂食・嚥下障害の評価
 摂食・嚥下の動作は、認知期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期の5つの過程に分類できます。
認知期:食物を認知して、何をどのくらいどのように食べるかを判断します。
準備期:食物を口腔に取り込みます。食物を咀嚼して食塊を作ります。
口腔期:食塊を口腔から咽頭に送り込みます。
咽頭期:食塊を咽頭から食道に送り込みます(嚥下反射)。
食道期:食塊を食道から胃に送り込みます。

障害されている過程によって摂食・嚥下訓練の方法が異なるため、過程の評価が重要です。また、改訂水飲みテスト(3mlの水を嚥下)やフードテスト(3〜4gのプリンやゼリーを嚥下)などのスクリーニングテストを行います。これらのスクリーニングテストで異常がある場合には、嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査を行います。

>> 摂食・嚥下障害のリハビリテーション
以下の5つを並行して行います。
@口腔ケア
口の中を清潔に保つことで、誤嚥性肺炎をある程度予防できます。また、意識状態や摂食・嚥下機能の改善も期待できます。
A食事の姿勢
ギャッジアップ30度で頸部を前屈する姿勢が基本です。この姿勢では、口唇から食物がこぼれにくい、重力を利用して食塊を口腔から咽頭に送り込みやすい、誤嚥しにくいといった長所があります。ただし、座位のほうが飲み込みやすい患者もいます。
B食事の形態
飲み込みやすさと誤嚥をした場合の安全性を考えて、通常はゼラチンゼリーから開始します。ある段階の食事を1〜3日間、問題なく摂取できた時に1段階ずつ食形態を上げていく段階的摂食訓練を行います。
C摂食嚥下療法
様々なテクニックがありますが、使用することが多いのは、空嚥下、複数回嚥下、横向き嚥下、嚥下に集中すること、小さいスプ−ンの使用などです。
Dチームアプローチ
医師のみで行うことはできませんので、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士、歯科医師、歯科衛生士など、多くの職種で関与します。